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『目羅博士』補遺――クラカウアーかぶれの連想ゲーム

※「砂男、眠り男──カリガリ博士の真実」コーラ掲載後の関連話題。
目羅博士とカリガリ博士補遺。以下、鈴木のブログより再録

1987年5月号の「ユリイカ」乱歩特集号に、『目羅博士』への『砂男』からの影響を示唆する記述を見つけたが――。

このいわゆる「狂博士」は眼科医であり、彼の診察室に置かれた無数の義眼や蝋人形は、ホフマンの『砂鬼』の眼玉をくりぬく砂鬼たる晴雨計売りのコッペリウスと、彼の部屋の無数の眼鏡や、スパランツァーニ教授の自動人形を連想させる。
今泉文子「変幻する眼―乱歩とバロッキズム」

誤りが二つ以上紛れ込んでいるのはとりあえずよしとしよう。今泉は、乱歩が「エーヴェルスの『蜘蛛』にアイディアを得て『目羅博士』を書き上げている」ことを指摘し、のちにエーヴェルスがナチの御用文学者になったことを述べて、次のように言う。

乱歩のような文学によって戸惑わされた読者の視線、煽り立てられた感情は最終的には何処へ行きつくのか。あるいはついに行きつくところなくさまよい続けるのか。ドイツ語圏ではエーヴェルスのような文学に無反省にふけっていた大衆の視線と、煽り立てられたその感情は、ある強力な指導者へと向けられていった。

関係ないだろうがw

さらに、このあとを以下のごとく続けるのだから……。

いや、こう言ったからといって、大衆文学、怪奇幻想文学を読むのがいけないと言うのではもちろんない。[…]乱歩に典型的に見られる「視角の変容」、「視線のズレ」は、権威主義的な硬直した秩序を密かに崩壊させる力をももちうるはずである。大衆文学こそ、直接に読者の感性に働きかけ、読者の反応を最も多く期待するものだから、いかに読むかということが、実はもっと問われていいものなのではないか。

悪いけど、あまりにも典型的で笑う。

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